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ガブリエル・シャネル展〜東北へのまなざし

今日は「ものを生み出す」ということについての濃密な教材を与えられ、熟考する一日。
丸の内で開催中のシャネル展。あくまでも「ガブリエル・シャネル展」と銘打っているのは、CHANELがラガーフェルドではなく、ココ(ガブリエル)・シャネルの手によるメゾンだった時代の展示だから。
脳内覚え書き
<彼女について>
- 成功のためならユダヤ人をナチに売ることなど朝飯前のイヤな女。
- 成功に対する執念は貧しい孤児であった生い立ちに起因するが、成功を手にできたのは獅子座という星のせいだろう。
- 歳をとってからの再起でもクリエイティヴィティと哲学にブレも衰えもない凄まじさ。
- それほどまでに欲しいものを手に入れた晩年の彼女の顔に現れる底意地の悪さ。
- 人にも流行にも媚びず、信じたものは自分の哲学だけという男前。
- 「女性の解放」を、被服を通じて実現した真の革命家。
→ 人としては決して素敵だとは思わない。かくありたいとも思わない。ただ、成し遂げたことには絶対の価値。美における天才。商才も天才。
<服飾について>
- 「ただなんとなく」がひとつもない。全てにおいて計算され尽くした上で「なんとなく」に見せるのは美学。
- 美しさはディテールがすべて
- ディテールはデザイナーの人生哲学から生まれるもの
- つまり美とエレガンスは、それを産む人の哲学の反映
- もし、彼女自身が「劣等感に悩むデブ」だったら、あのような服は生まれなかっただろう。
- 女性(あるいは人を)を「縛り」から解放する、というのは、自身がその縛りから解放されていなければ出来得ないことだ。
- 女性の解放のために、あの服を作ったのではなく、自分のために作り、それが人を結果的に解放した。
- 彼女は服飾や、スタイルやエレガンスやメイキングが「好き」なのではなく、「追求した」のだろう。
- 着る人が存在しなければ、あのようなものは生まれなかっただろう。彼女の作る服を、美しく着こなす人がいるからこその創作意欲だっただろう。そして彼女自身が、シャネルが似合う女だった。
<スタイルについて>
- シンプルな服に対して、決定的にデコラティヴなジュエリーを合わせるのは極意中の極意。
- 服に関しては旧習のすべてを打ち破るデザイン。反してジュエリーには古典的なモチーフから着想を得ているのが印象的。
→ ジュエリーだけのカタログが欲しかった。
続いてステーションギャラリーで開催中の「東北へのまなざし」展へ。
敬愛申し上げるブルーノ・タウトに関する展示を中心に見る。
東北で使われる蓑などの農衣の素晴らしさよ。
シャネルが「都市の服飾」であるなら、こちらは地面という命に直結した生活の服飾であり、やはりディテールに至るまで自然合理性に富んだ美の姿だと思った。
びっしり幾何学的な刺繍が埋め込まれた上下など、気が遠くなるような制作過程だとお見受けしたが、雪深く冬が長いために、ディテールへの精巧さが培われたという考察には唸ってしまった。
本当は展覧会のハシゴは禁じ手なのだが、できるだけ都内に出かけたくないので、会場も近いことからしてしまい、後悔はないけどやはり疲れる(笑)
ルーブルを見て、その後オランジュリーを見る、みたいなパリに来たおのぼりさんみたいだなと思ったらジワジワうけた。
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