マギの礼拝

今年もこの季節になりました。
去年からジーザス一家が4家族に増えたので実に密です。
母に写真を送ったら「まるで難民キャンプじゃないの!」という、このご時世ではポリティカリーにインコレクトであろう感想が戻ってきましたw
さすがだね!
だってジーザスは難民キャンプみたいなとこで生まれたんだよ。(少なくとも、そういうお話になってます)
さて、宗教画に並々ならぬ関心を抱いた20代。
中でも鮮烈にインプットされたのが「マギの礼拝」のモチーフ。
これはレオナルド。未完のやつ。
だから生々しくデッサンの跡が残ってる。最初の構想は、こういう構図じゃなかったことも知られてます。
これはウフィッツィにあるジェンティーレ・ダ・ファブリアーノのやつ。
赤ちゃんジーザスが、黄金を土産に持ってきたおっさんの頭を触っている。
ま、画家によっていろんな構図で描かれるモチーフ。
ここで「マギ」というのが一人の人物のことではなくて、救世主誕生の噂を聞きつけてはるばる「東方」からやってきた3人のことですよ、という話をしておきます。
ちなみに日本語では「東方三博士の礼拝」とか「東方三賢人」とか言われてます。
でもイタリア語ではMagiです。
一人ならMago。複数いるからMagi。(どうでもいい情報)
しかしこのMagoという単語は、魔法使いとか手品師とか、そんな意味を持ってます。
だからMagic(手品)って言うでしょ。
つまりこの人たちは日本風に言えば「陰陽師」みたいなもんだと。
星を見てやってきたのだから占星術師、錬金術師、みたいな怪しいお立場の方々。
そして、持参してきたのがそれぞれ
黄金と、没薬(ミルラ)と、乳香(フランキンセンス)です。
ほら、3人この通り。
でも実際は、3人が駆けつけたのは生まれた日じゃなくて、もっと後なんだよね。
乳香はフランキン・センスという精油で、乳香の木を傷つけた時に出る樹脂が白く、ミルクに似ていることからこのように呼ばれるようになりました。
体の不調を回復させ、身体を健康に強く保つ力があり、不安や緊張、強迫観念を取り除き、美しさと健康を保つ効果もあるそうです。特定の在来種の木の樹皮を削り取り、乾燥させた後、樹脂のビーズを収穫し、焼くと、強くて美しい香りがする抽出物が出来上がります。
没薬はミルラと呼ばれ、近東原産の木の樹液に由来する香料で4000年以上も前から使用されてきた歴史があります。
祈りや聖なる儀式の場でミルラはフランキンセンスと共にお香として焚かれるなど、神に捧げられる神聖な供物として扱われて来ました。古代世界では、香水、塗る油としてより広く使用され、薬用強壮剤としても使われてきました。緊張や不安を取り除き、気持ちを穏やかにする心への作用、口内炎や咳、気管支炎、胃腸の働きを整える作用もあるようです。
こんな絵画を熱心に見ていた頃、まさか自分が香に詳しくなって、乳香やミルラを使って商品を作ることになろうとは予想だにしていなかったことを考えると、しみじみ人生って面白いなって思います。
お香って、「匂い」だけじゃない。
むしろ匂いだけと思われているもの(精油もそう)に力がある。
「すごい効力があるのに、いい香りがするもの」という認識の方が正しいと思う。
だからこそ、むしろ扱いが「所詮は匂いでしょ」みたいなところに置かれてきたのかもね。
ま、とにかく香りとは本当に良いものです。
Opus2を使ってみてください。